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ペルシャ絨毯とは
自然が生みだした素材と色彩は、感性という創造力によって
生活を彩る芸術作品へと昇華した。
希少性と美術的クォリティの高さ、そして更なる美しさへと
磨き上げてゆく贅沢な楽しみが魅力的。
ペルシャ絨毯がいつごろから織られ始めたかよくわかってはいませんが、現存する最古のものは、紀元前5世紀頃アルタイ山脈の「バジリク古墳」から出土したものといわれています。レニングラードのエルミタージュ美術館が所蔵する、このバジリク絨毯は、ペルシャの最初の王朝といわれるアケメネス王朝で作られ、皇女がスキタイ王国へ嫁ぐとき、持参したものと推定されています。ペルシャ絨毯が一般に普及したのは、イスラム教の発展があったからでした。一日に5度の礼禱を清潔な場所でひざまづいて行わなければならないため、膝に敷く小型の礼禱用絨毯が必要とされ、その需要がイスラム教の布教と共に増大していきました。また、モスクの増加に伴い多量の絨毯が使われるようになり、それが各家庭に普及し、婦女子が家庭内で織上げるようになりました。後にヨーロッパに広まり、絨毯はステイタスシンボルともいうべき存在になっていきました。
ペルシャ絨毯の素材はウールとシルクが一般的です。ウールの場合、刈り取られた羊毛は石鹸で繰り返し洗い、乾燥させ、梳いてから丁寧に糸に紡まれます。
ペルシャ絨毯の染料は、現在も昔と変わらず天然染料が使われていますが、最近では、科学染料も一部で使われるようになってきました。化学染料の方が手軽で安価に染められますが、長い時を経て少しずつ味わいを増してくる天然染料の趣がペルシャ絨毯の素晴らしさのひとつであり、天然染料が多く使われている理由です。ペルシャ絨毯の代表的な色彩といえば、ペルシャン・ブルーとペルシャン・レッドがあげられますが、ブルーは豆科のいインド藍の葉の中に含まれるインディゴを、レッドは多年生の植物の茜の根を乾燥させ粉末にしたものか、 コチニールという貝殻虫の雌だけが使用されます。黄色はざくろの実や牧草の一種であるイスペレクやブドウの葉などから、緑はインディゴとざくろを混ぜたものやブドウの葉から、黒は黒い羊から取れた羊毛を使い、茶色はくるみの殻から、ベージュはアカシアから取り出し使用されます。色は単に色調ととしてだけでなく、それぞれに意味があります。例えば、白は嘆き、悲しみを象徴します。また、空色はペルシャ国を代表する色で平和を、緑はモハメッドの旗印が緑だったため畏敬すべき色、神聖な色とみなされ、不死を象徴します。そのため、祈りのとき使用される絨毯には、常に緑が用いられます。赤は喜び、生命、善を、金色は権力、藍色は孤独、茶色は肥沃、黄色はサルタン(皇帝)を、ピンクは知恵を意味しています。また、ペルシャ絨毯の魅力のひとつに数えられる華麗な紋様にも様々な種類があります。その代表的なものは、狩猟紋様、庭園紋様、唐草紋様、メダリオン紋様、生命の樹の紋様などで、各部族・町・村により代々伝統的に受け継がれています。産地の固有の紋様として有名なのが、イスファンのシャー・アッバス・メダリオン紋様、タブリーズのマヒ紋様、カシャーンのパルメット紋様、コムの鳥、花、有翼ライオン、ドラゴンなどです。紋様も色と同様に意味があります。魚、アヒルは家庭の幸福、生命の樹は生命力や子孫繁栄、亀は長寿、鷹は肥沃の象徴として表現されています。このように深い意味の込められたペルシャ絨毯を作る方法は二通りあります。まず、折機を壁に立てかけ、上下の横木の間に糸を張り、その縦糸に色糸一目一目結んでゆく方法と、折機を地面に水平に置いて作業する方法です。堅機は主に定住民族に、水平機は移動する時に便利なため遊牧民に利用されています。堅機で織る場合、壁にたてかけた機の上下2本の横木の間に縦糸が張られ、その前に座った織手が上から垂れるさまざまな色糸を左手で引き、縦糸に結び、右手のナイフでその糸を切ります。こうして縦糸にひとつの色の色糸の結び目(ノット)を作り、その隣りにもうひとつのノット、という具合に作業を進めます。横一列のノットが出来上がると横糸を差し込み、櫛状の器具で目を詰め堅く締めます。この列がいくつかできると色糸の長さ(パイルと呼ぶ)を一定に切り揃えます。この工程を繰り返し、ペルシャ絨毯が作られます。縦糸に色糸を結ぶ方法には、シングルノットとダブルノットの2種類があります。
織手一人でカバーできる横幅は自ずと制限されるため、幅広の絨毯を製作する場合には、何人かの織手が並んで作業します。この場合、使う色の兼ね合わせ、進行状況などの問題が生じるため、図柄、色調などすべてを理解したマスターが織手の後ろで指示を与えることがあります。
現在も織手の中心は少女や婦人達ですが、都会の大きな工房では熟練した専門の織工が中心となって方眼紙上の下絵にそって忠実に製作をしています。ひとつひとつが丁寧な手作りであるペルシャ絨毯ならではの細かな作業といえます。
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